やりとりの論点を掴む
仕事においてコミュニケーションは欠かせません。そして、コミュニケーションの質によって本来の意図とズレて伝わったり、意図通りに伝わったとしても、過剰に時間がかかったりする可能性があります。
コミュニケーションの質と効率を高めるために重要な要素として、「やりとりの論点を掴む」という点があります。そこで、この記事では「やりとりの論点を掴む」ことについてまとめます。
論点とは?
論点の変化について
論点の変化のバリエーション
主テーマと理解のための説明
議論の主テーマを話すうちに、関係者が理解できない内容が発生し、その内容の理解に関するやりとりに移行し、理解を得たら主テーマに戻るケースです。
階層化された議題の検討
大テーマ・中テーマのように、議論の内容が階層化されている場合に、大テーマ→中テーマのようにより詳細な粒度のやりとりにシフトし、その議論が着地したら大テーマの話題に戻り、次の中テーマの話題に進むようなケースです。
問題の整理と解決策の検討
問題を明確にした上でその内容について検討をし、問題に対して取り組むことを決めたら今度は解決策の案を発散し、複数案の中から1つの案に収束していくようなケースです。
対症療法と根本対応の検討
なにかの問題に対してまずはその場の対応として対症療法を検討したあと、類似の問題を予防するための根本対応を検討するケースです。
論点のズレ
具体例1 - 具体例の中身に着目してしまうケース
本論について議論する中で発生した参加者の不明点を解消するために、理解を促すための具体例を説明したが、論点を終えていない人が具体例の中身が気になって議論がそれてしまうケースです。具体例はあくまで理解のための例であり、その中身の議論は不要なのですが、論点を把握できていないと具体例の中身のテーマも重要な議論の1テーマに見えてしまうのでしょう。
具体例2 - 関連する別の話題に逸れてしまうケース
主テーマについて話している中で、「特定のテーマ」の話題になったとき、主テーマの結論とは関係ないが話題にでている「特定のテーマ」とは関係あるような話題にそれていってしまうようなケースです。
例えば、採用の認知施策の強化について話し合っていたとして、話の流れで「1次選考中に候補者さんからブログ記事がきっかけで応募した」という話題になったとします。ここで、1次選考の話題になったことをきっかけに元々1次選考の面接内容がきになっていた人が面接内容の話題について長々と話し始めたとします。この話題は主テーマである「採用の認知施策の強化」の結論に全く関わらないため、時間を使うだけになります。
具体例3 - 主テーマに至るまでが遅すぎるケース
主テーマについて頭出しをせず、前置きとなる前提や補足の話題をいくつも繰り返してから主テーマの本題に入るようなケースです。遠回りしすぎた結果、関係者が何の話をされているか把握できずに議論の迷子になってしまいます。
論点のズレの予防・対策
事前の議題の整理
論点を可視化する
論点の転換を明示する伝え方をする
例えば、以下のようなものがあります。
- 論点を整理
- 「今までの話をまとめると、次に議論すべきポイントは○○です。」
- 具体から抽象への切り替え
- 「この具体的な例を踏まえて、より一般的な原則について考えましょう。」
- 抽象から具体への切り替え
- 「この抽象的なアイデアを具体的な行動計画に落とし込みましょう。」
- 視点の変更を促す
- 「ここで視点を変えて、顧客の立場から考えてみましょう。」
- 時間軸の切り替え
- 「まず、短期的な対策について議論しましょう。その後、長期的な戦略に移ります。」
- 問題から解決策への切り替え
- 「ここまでで問題点が整理できました。では、具体的な対応策について話し合いましょう。」
- 発散から収束への切り替え
- 「ここまでアイデアを広げてきましたので、次に具体的な行動計画に絞りましょう。」
論点を掴む力を伸ばすために個人ができること
ファシリテーターを担当し、議論の後にファシリテーションについてふりかえり、改善を繰り返します。効果的に改善するためには自分の状態に気づく力として「メタ認知の強化」が必要になります。議論中の自分の言動が議論にどのような影響を与えたかを俯瞰して把握できる必要があるためです。メタ認知に関する詳細は以下の記事を参照ください。
まとめ
コミュニケーションスキルはスキルの向上が把握しにくく、成長の実感を得にくい分野ではありますが、コミュニケーションスキルの向上は自分だけではなく、ともにコミュニケーションに関わる全員の時間を有効活用することになります。スキルアップの効果が大きな領域と言えるでしょう。